親バカエンジニアのナレッジ帳

webのエンジニアをやっており、日頃の開発で詰まったことや書き残しておきたいことを載せています。

SIerとして働くことの何が嫌だったのか…SIerを辞めた理由と私が経験した業界事情


今回は技術のお話ではありません!

いつもは技術的なことをたらたらと記事にしているのですが、今回は技術のお話ではありません。
今回は私の過去のSIer時代の業務内容について、また、SIerを退職した話を書きたいと思います。

なぜ過去の話を書きたくなったかというと、今現在は私はシステムエンジニアとして充実した日々を送れていますが、過去には多くの苦労があり紆余曲折ありました。
社会人になってからもうすぐ10年になるので、ここで過去を振り返ってみようと思いました。

今後はスタートアップ企業から会社の規模が大きくなり、辞めたくなった話も書いてみようかなと思ってますw

そもそもSIerって?

話の前に、そもそもSIerってなんじゃらほいというところです。
SIerとはシステムインテグレーションのSIに、「〜する人」を表すerをつけて成り立つ単語ですが、簡単に言ってしまえば、システム開発によりユーザの課題を解決する仕事。
(私が所属していた会社だともっと簡単に定義できて、「ユーザの言いなりで開発をする仕事」という言葉が適切でしたがw)

SIerと私

今現在私は事業会社で自社サービス開発のWebエンジニアとして従事していますが、元々はSIerとして働いていました。
新卒から4年働いてSIerを退職し、Web業界に転職という流れですが、なぜSIerを辞めたのか、、、簡単に言えば

こんな仕事がしたいわけではなかった!

という思いに刈られ、こんな場所にいたくないという気持ちが抑えられなくなったからです。
まぁどんな仕事も転職理由なんてそんなものですよね。

転職業界が活気付いている昨今、こんな感情的なことで転職する人も多いのではないでしょうか。
私の場合は幸いなことに、Web業界に転職してからはやりたかった仕事ができ、なりたかった自分に近づいているかなと感じています。


ということでそろそろ私が嫌になった仕事の内容について書き記していこうと思います。


今回の記事はあくまで個人の主観が多分にあり、私が所属していた会社にしか当てはまらないこともあるかもしれません。
ただ、SIer業界に共通した内容もちょこちょこあり、SIerあるあるの話も多いと思います。

SIer業界への就職や転職を考えている人には、多少参考になる記事にできるように意識していこうと思います。

繰り返しますが、あくまで私自身の経験と個人の主観を述べるだけで、SIer業界を否定しているわけではありません。


...ただSIer業界には2度と足を踏み入れたくないです。

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SIer業界に入った経緯

私が新卒の頃に就職した会社N社は、SIer業界でも名の通ったあの大きな会社!

の子会社でした…w

子会社とはいえ、事業分野は多岐に渡り、社員数もそれなりに抱えている歴史ある会社でした。

その会社を志望した経緯としては、当時はとにかくシステムエンジニアになりたかったので、とりあえずは大手の傘下を選んだという流れです。
当時を振り返ればエンジニア業界のことをよく調べておらず、あまり何もわかっていないのになんとなくの気持ちで会社を選びました。
大手の傘下であれば潰れることもないだろうと。
新卒の頃はベンチャーよりも大手志向が強かったので、ベンチャー企業は選考も受けませんでした。

当時の勘違い

就職活動時は会社での働き方というものが全くわかっていなかったので(大学生なので当然ではありますが)、エンジニアになればひたすらものづくりに没頭できると勘違いしていました。
ものづくりが好きだったので、好きなことを仕事にできるという甘い考えだったのです…

よって、エンジニアであれば業界も業種もなんでも良かったというわけです。

今思えばここの決断が軽率だったかなと後悔しています。
自分の将来の仕事のことですから、働き方などリサーチしておくべきでした。

仕事は人間関係の問題などが大きな影響を占めるので、入社後に後悔するのかどうかは運の要素もありますが、少なくとも業界・業種に対してのリサーチはした方が良いですねw

どんな会社だったのか

会社は歴史があるために、制度や設備などはしっかりしていました。
時期にもよりますが、ある程度残業はあるものの毎日終電というわけではなく、尚且つ残業代はしっかり出ていたので、全くブラック企業ではありませんでした。

資格の報償金もなかなかの金額がもらえるため、ちゃちゃっと簡単な資格を受けてお小遣い稼ぎができたりなど旨みのある所もありました。

また、子会社なので下請けメインかと思いきや、上流から下流まで行っている会社なので、何ヵ月も毎日毎日ひたすら開発…ということはありませんでしたし。



何が嫌だったか

上記の会社の内容だけ聞けばとても良い環境に思える方もいるでしょう。
そんな中で何が嫌だったか色々挙げていきます。
社会人たるもの仕事で不満がない人なんてまずいないと思いますが、特に私が退職しようと思い至った原因になる事項を挙げていきます。

他で通用するような技術を身に付けられない

エンジニア業界は進化がとにかく早く、新技術が次々に出てくる業界です。
新しい技術をひたすら追い続けることで知的好奇心を満たし、それがモチベーションの向上に繋がっているエンジニアも多いのでしょうか。

私もそのタイプでしたが、残念ながら私の所属していた会社では、独自のフレームワークで作られたパッケージサービスを提供するものでした。

その場合、開発業務ではひたすらそのパッケージを改修し続けるもので、何らスキルを伸ばせるものはありませんでした。

品質や開発フローなどは安定するものの、やっていることはルーティンワークに近いものになるため、モチベーションはどんどん下がっていきました。
入社して1年後には下がってましたねw

パッケージサービス自体もそれほど使いやすいものとは言えず、サービスを提供する側の私ですらこんなパフォーマンスの低いサービスをクライアントはよく使っていられるなぁ、といつも不思議に思っていました。
市販のソフトを使った方が絶対安くて使いやすいと思われるレベルでした。

モチベーションが下がっていたのは私だけではなく、会社全体が下がっていました。
やる気があるのはいい給料をもらっている上司の方々だけで、一般社員は何か新しいことをしようとする人も皆無w
新技術の導入を提案しても誰も協力してくれません。

そんな環境を早く抜け出して他で通用する技術を身に付けたいと思う若手を誰が責められましょう。

実力主義ではなく、年功序列

古く伝統のある会社だったからだと思いますが、出世や給料は完全に年功序列でした。
なぜあの人が課長...?という人事も多く、社員の不満が噴出していました。
まぁ人事問題で不満が出ない会社はないと思いますが。。。

仕事ができない人が出世できることも微妙ですが、仕事ができる人が出世できないことも周囲の不満を募らせる要因でした。
出世や給料が仕事の貢献度に関連性がないというわけですから、一生懸命やる人はいるわけありません。

現にベテラン社員が多かったので、ある程度この会社でキャリアを積んだら転職してる人が多いのかな、と感じてはいました。

ドキュメント作成にかける時間の比重が高い

SIer業界では、開発をするにあたって、開発前には仕様書、基本設計書、詳細設計書などがあり、開発後には試験項目表、エビデンス作成など作成するドキュメントは多いです。
ちょっとした改修作業でも上記のような資料を全て揃える必要があり、開発よりも資料作成にかける時間が長くなることも珍しくないでしょう。

とにかく品質重視なんですよね。
もちろんバグだらけのサービスを提供すれば信用を大きく損なうことになりますので、サービスの特性から言えば当然といえば当然のことです。
言った言わない問題、あの時確認したしてない問題...等々に備えてリスクヘッジが重要な業界です。
自社サービスであればバグにより損害が発生した場合でも迷惑がかかるのは自分たちだけですが、クライアントのサービスで損害が出た場合は損害賠償が請求される恐れもあります。
念には念を入れて事を運ぶ業界なんですね。

人によっては頭を整理してよく考えてからプログラミングができるし、テストの漏れも減らせるためにこのやり方を好む人もいるでしょう。

ただ私からすると、スピード感があまりにも無さすぎることが嫌でした。
開発スキルよりもドキュメント作成のスキルばかりが上がっていき、エクセルの操作だけが上達しているような状態でしたw
また、ドキュメントは共有サーバなどに管理されるものですが、該当のものを探し出し、先祖帰りを起こさないようにバージョン管理もしっかり行わないといけないのがとにかく面倒。

この会社にいる限り、今後開発スキルは上げることができないんじゃないかと2年目あたりから不安で仕方がなかったです。

結局は大手の子会社であると認識させられたこと

働いていた会社はN社の子会社であったことは先述の通りですが、私はそのN社(つまり親会社)に常駐しておりました。
私の他にも同僚含め、N社の子会社で常駐しながら働いていた人はたくさんるような一大プロジェクトに関わっていたのです。

当然常駐する人間は常駐先の会社の社員(プロパー社員)の方々にリードされて業務を行うわけですが、親会社と子会社という関係もあるせいか、こちらが勝手に卑屈な気持ちになってしまうのです。
N社は給料が高くて有名です。SIerの給料ランキングにも必ず顔を出すようなレベルで。
一方私は子会社の人間なので給料はたかが知れております。
それでいて労働時間は私たちの方が長いチームだったため、ついつい卑屈な気持ちになってしまうのです。
どうせこいつら俺らのことなんて見下してるんだろ、といつも思っていました。

4年もやっているとそういうことでもモチベーションが下がる要因になってしまうんですよね。。。

ただ、N社の親会社の方々はさすがに優秀な人が多く、同じ会社だったとしても私はリードされてた側になってたと思いますがw

クライアントの要望に沿ったものを作らなければいけないこと

これはSIerなので当然のことです。
SIerはクライアントの要望に応えてサービス開発をし、それでご飯を食べていますからね。

ただエンジニアになってから長い時間が経過し、ある程度のスキルが身に付いてくると、クライアントの要望を叶えるために開発をすることがバカらしくなってきました。
安くない料金をいただいているにも関わらず、心の中でなんでおまえらのために開発しなきゃいけないんだよ...と常にイライラしながら仕事をしていました。

せっかくWebのサービス作りができるスキルを持っているのに、一部の方々のためにだけ腕を奮うことがもったいなく感じてくると言いますか…
やっぱり自分の(自分たちの)サービスというものを持ちたくなるのです。
SIerとして働くことのモチベージョンが下がっていれば尚更そのような気持ちが強くなります。



転職を決意した決定的な出来事

上記のようなモヤモヤを抱えて仕事を続けてはいましたが、ある決定的な出来事を機に、退職を完全に決意しました。
今でもはっきり覚えているのですが、ある日クライアントからの厳しいクレームを受けたのです。
先述した通り、SIer業界では事前に要件定義を行い、何ができて何ができないのかしっかり詰めた上で工数を算出して見積りを出します。

ある日、「なんで~ができないんだ!」という猛烈なクレームメールがクライアントの重鎮のおじいさまから届きました。
しかも関係者全員(恐らく100人近く)をCCに入れて送ってくるという暴挙で、あたかも私が悪いと言わんばかりの内容だったのです。

こちらとしては、それはできないって要件がの時に話したじゃん!という思いだったのですが、クライアントはそんなことは覚えていなかったようです。

要件定義時の議事録にもしっかり記載があったので、後日上司が説明に向かってくれて事なきは経たのですが、私の気持ちは完全に切れていました。
色々なことを我慢して仕事をしていたのですが、なんでこのような方々のために、いや、
あえて言わせてもらうなら、

なんでこいつらのためにサービスを作らないといけないんだ

という気持ちになったんですね。
家族がいたり、ある程度の年齢の方々であればそれでも我慢して働くかもしれませんが、私の精神はもう限界を突破したのでそのまま転職サイトに登録しました。


当時不満は他にもいくらでもありましたが(例えば上司がパワハラっぽかったとかw)、直接的な理由になるのは上記のものですね。

辞めた後だから感じるSIer業界の特徴

辞めた経緯(過去の愚痴)はこれくらいにして、SIer業界の働き方とはどのようなものだったか簡単に振り返ってみます。

品質に対する意識が高い

これはベンチャーのWeb業界に転職してから実感したことですが、先述の通りSIer業界は品質が信用に大きく関わります。
よってテストからエビデンス作成まで丁寧に細かく行い、品質に対する意識もとても高いです。

ユニットテストもカバレッジ100%とは言わないまでも、多くの時間をかけている会社が多いのではないでしょうか。
また、開発フローの決まりごとがしっかりしており、リリース前のクライアントチェックも必ず行うなど、気軽にリリースができる環境にはないでしょう。

ベンチャーのWeb業界はスピード感を意識するものですが、会社によっては品質がザルな会社も多いです。
何かあった時に迷惑がかかるのは自分たちだけとはいえ、もう少し品質を意識してみてもいいのでは...?と感じる会社も多々あります。
開発フローを丸ごと真似するとスピード感がなくなるので、全部とは言いませんが多少はSIer業界に見習っても良いかと思います。

上の権力で急に仕様が変わるとかはない

これはSIer業界の大きなメリットです。
上の権力ではなく、クライアント都合で仕様が変わることはもちろんありますが、ベンチャーの激しい仕様変更に比べれば楽なもんです。

ベンチャーの場合は代表や執行役員の方々から気軽に、時に思いつきで仕様変更を言いつけられることはよくあることでしょう。

おまえこの前これいらないって言ったじゃん

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みたいに思うことは日常茶飯事です。
特にエンジニア経験のない役員は気軽に言ってきます。(エンジニア経験のある役員もある種始末が悪い存在ではありますが...)

対してSIerは仕様を決めるまでは長いですが、変更が発生すれば費用も変わるため、途中で仕様が変わることはそれほど多くありません。
もちろん中には頻繁に変更を繰り替えす悪質なクライアントもいるかもしれませんが...
開発に入ってしまえば割と集中して取り組める環境にはあると思います。
作っているものにやりがいを感じるかは別としてw

経験しないとわからないことはある

上記のようにSIer業界で働くことのメリットデメリットはありますが、全て自分で経験したからこそ学べたことかなとも思っています。
私はクライアントのために品質を重視して開発をするということが性に合っていないため、ベンチャー系のWeb業界にいる今が楽しいですが、それも両方経験したからこそわかったことだと思います。

色々とSIer業界のこと(主に悪口)を書きましたが、業界の中にはこういう会社もあるんだなぁと軽く参考にしてもらえればと思います。


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